北は瀬戸内海に囲まれ、南は西日本最高峰の石鎚山が位置する自然豊かなエリア、愛知県・西条市。温暖な気候に包まれた心地良い街は、良質な自噴水「うちぬき」が湧き出す水の都としても知られています。この度生まれた新たな名所 ITOMACHI HOTEL 0に、アクサーブランドの水栓を採用いただきました。
設計のポイントやアクサー製品をご採用いただいた理由を、内装設計を担当されたDugout Architects 渡瀬育馬様へお伺いしました。
内装設計:Dugout Architects 渡瀬育馬
撮影:増田好郎
「ITOMACHI HOTEL 0」は愛媛県西条市の広大な農地を転用し地域活性化を目指して動く「糸プロジェクト」の中のひとつで、日本初のゼロエネルギーホテルである。
この地域は山間部に降った雨が伏流水として集まる地形であることから全国でも稀な自噴地帯を形成し、各地域や家庭でそれぞれ「うちぬき」と呼ばれる自噴井を掘って地下水を使用している。
このホテルでも使用する水は全て地下水が利用されている。日本名水100選に選ばれるほどの清冽な水は西条の人々の生活に根付き独自の文化を形成してきた。
また日本全国の名庭の景石として度々目にする「伊予青石」の産地である。明るく軽やかなライトトーンの千草色をした石は、水に濡れると深く濃く落ち着いたダークトーンの木賊色へ変貌する。
この同じ石がもつ二つの異なるトーンを客室の種類に合わせて使い分け、ホテル棟では千草色を、ヴィラ棟では木賊色をカラースキームとした。
「うちぬき」「伊予青石」、こうした地域に根付いた文化資源をベースにインテリア・ランドスケープデザインを展開することで、今後も続く糸プロジェクトを通じてITOMACHI HOTEL 0が西条のシンボルとして地域活性のひとつの足掛りとなることを目指した。
「うちぬき」を想起させ、豊かな水の特別な体験によって宿泊者を出迎えることを構想し、水が渦を巻きながら湧き上がるようにデザインされたAXORの「スタルクV」を水栓に採用し、特注の天板はコーリアンでボウル一体成型とすることで、大地を伝う水の流れを大胆かつシンプルに表現した。